FOMC あれこれ

連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee;FOMC) あれこれ

作成:2019/7/24
更新:2019/9/9

下記記事は主にFRBのサイトを参考に作成した。

FOMC 概要

FOMCはアメリカの金融政策を決定する委員会。会合はおよそ6週間毎に年計8回開催される。2日間開催され最終日の14:15(東部時間)(日本時間だと3:15(サマータイム期間)か4:15(それ以外の期間))に声明文が発表される。会合後には記者会見が行われるが、2019年1月からは記者会見が毎回行われることになっている。議事要旨は会合の3週間後に公表される。

FOMC前後にはブラックアウト期間(Blackout Periods)が設けられており、FOMC参加者の発言が制限される(詳細は下記リンク参照)。

www.stlouisfed.org

期間はFOMC開催予定日の前々週の土曜日から会合後の木曜日いっぱいまで。

FOMCは連邦準備制度理事会 (Federal Reserve Board;FRB)の理事(Governor)7名と、地区ごとの連邦準備銀行総裁(Federal Reserve Bank presidents)5名で構成される。伝統的に委員長はFRB議長が務めることになっており、また副委員長はニューヨーク連邦準備銀行総裁が就任し常に投票権を持つ。投票権のある連邦準備銀行総裁は、ニューヨーク連邦準備銀行総裁以外の4名が1年交代のローテーションで就任する(投票権のない連邦準備銀行総裁も会合及び議論には参加する)。

メンバーは金融政策に対する傾向からタカ派(hawkish;引き締め傾向)、ハト派(dovish;緩和傾向)、中道(centrist)などと呼ばれる。

FED(Federal Reserve System)が用いる伝統的な金融政策には公定歩合(discount rate)や預金準備率(reserve requirement)の操作などもあるが、現在はフェデラルファンド金利(federal funds rate)(準備預金を銀行間で貸し借りする時の利率(オーバーナイトの))の誘導が最も重視されている。また、これらの伝統的な政策に加えて2008年からは量的緩和政策(Quantitative easing;QE)が実施された。この政策では市場への資金供給増加を目的として、財務省証券(Treasury Securities;米国債)やMBS(Mortgage Backed Securities;住宅ローンを担保として発行された債券)の購入が行われた。

現在のFOMCメンバーと発言に関するニュースなど まとめ

※下記各氏の「ハト寄り」などのスタンスは筆者の私見にすぎず、何ら保証するものではない。

・ジェローム・パウエル(Jerome Powell)氏、 議長、委員長、ハト寄り

2019年6月25日

www.cnbc.com

「経済の見通しに関する情報を注意深く監視し、景気拡大を支えるのに適切に行動する。」

2019年8月23日

jp.reuters.com


「米経済は「良好な立場」、FRBは「適切に対応」」

2019年9月6日

www.cnbc.com

「Fedは年間を通じて金利の見通しを引き下げてきたが、それが経済を支えた。それは景気の見通しが依然として良好である原因
の一つだ」
「労働市場は非常に強く、消費も強い」
「我々は景気後退を予想していないし、見込んでもいない。経済の見通しとしては、適度な成長と強い労働市場、インフレ率の回
復が続くという可能性がもっとも高い」
「(Fedは)景気拡大を支えるために適切に行動し続ける」

・ジョン・ウィリアムス(John Williams)氏、ニューヨーク連銀総裁、副委員長、ハト寄り


2019年7月18日

www.cnbc.com

「災難が起こるのを待つより予防的な方策をとる方がよい」

「金利がZLB(zero lower bound)より十分高いときならゆっくり動いて経済の動向を注視する余裕もあるが、ZLB付近に金利があるときは病気が悪化する前にワクチンを打っておいた方が良い」


2019年9月5日

www.cnbc.com

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「低インフレは現代における問題である。現在の適度な成長、低い失業率、しぶとく低いインフレ率という見通しはより大きな経
済情勢を反映したものである」
「私は注意深くこの微妙な経済情勢を監視し続けており、成長、力強い労働市場および2%のインフレ率への回帰を支えるため適切
に行動するために警戒を続けている」
「ドイツ、イギリス、中国はみな景気減速を経験しており、ユーロ圏は特に心配だ」
「我々に関しては、中国との貿易政策に関する不安が不透明性を増している。私が聞くところによると経済界の者はこの問題によ
り投資に注意深くなっていると言っており、この効果は既に数字に表れている」

・ミシェル・ボウマン(Michelle Bowman)氏、理事、中道

2019年2月12日

www.reuters.com

「労働市場とインフレ率をみると、経済はいい位置にある」

「我々の政策はいい位置にあると考えている」「我々の現在の政策方針は私には居心地がいい」

・ラエル・ブレイナード(Lael Brainard)氏、理事、ハト寄り

2019年7月12日

www.reuters.com

「インフレ率が弱いときのダウンサイドへのリスクを考えるとき、緩和的な金融政策の道筋を議論していくことはリスク管理の原則だ」

「もちろん、実際の金融政策の判断はデータやリスクの進展に影響され続けるだろう」

・リチャード・クラリダ(Richard  Clarida)氏、理事、ハト

2019年7月1日および2019年7月18日

finance.yahoo.com

「経済拡大と力強い労働市場及び物価の安定性を支えるために適切な政策をとるだろう」

「利下げを行う前に物事がひどく悪化するのを待つ必要はない」

2019年8月23日

www.cnbc.com

「7月の我々の会合後、明らかに世界経済は悪化している」
「世界経済は明らかに減速しており強力なデフレ低下圧力がかかっている」
「米経済はいい位置にあり、高まった景気後退のリスクはない」
「広範な指標を見なければならないが、私が注目しているのは高まった景気後退のリスクではない。適切な政策の下で、来年の経
済はトレンド並みかそれ以上の成長となると推測している」

・ランダル・クォールズ(Randal Quarles)氏、理事、タカ

2019年3月29日

www.cnbc.com

「政策に関しては、現時点では忍耐強くあり続けデータを監視していきたい」

「経済成長のポテンシャルとモメンタムに関して楽観的であり、どこかの時点で政策金利の引き上げが必要になると考えている」

・ジェームス・ブラード(James Bullard)氏、セントルイス連銀総裁、投票権あり、ハト寄り

2019年6月26日

www.reuters.com


「(7月に)50bpsの利下げはやりすぎだと思う。それが必要な状況ではないが、25bpsなら下げたい」

「これはどちらかというと保険的な意味合いのものであり、市場の動向に注意を払った金融政策の通常の調節といった意味合いのものだ」

 

2019年8月6日

www.cnbc.com

「追加の政策変更が望まれているのかもしれないが、金融政策の影響は表れるまで時間がかかり、前回の行動(7月FOMCでの25bps
の利下げ)のマクロ経済に対する効果はまだ出始めたばかりである」
「(エスカレートする貿易戦争や逆イールドカーブが)依然として脅威である」
「要点は、米国の金融政策は去年の年末より緩和的であるということだ」


2019年8月16日

www.reuters.com

「(一時的に逆イールドとなったことについて)弱気のシグナルであるためにはある程度の期間持続しなければならないだろう」
「(今週市場で起こったことに関してあまり影響を受けておらず、株価の下落に関しては)すこしやり過ぎだ」
「現状の数値は非常に良い。2%の成長。力強い労働市場。低インフレ。消費の成長。」
「我々は世界的な景気減速の只中におり、これが米国の経済にどのような影響を与えていくのか評価していかなければならない

 

2019年8月23日

www.cnbc.com

「保険的に利下げを行い、経済が成長を続けるようなら金利を戻せばよい」
「いくつかダウンサイドのリスクがあり、もっと保険をかけておきたい。やり過ぎだとわかったら来年元に戻せばいい」
「(逆転したイールドカーブについて)いい位置にあるとは言えず、利下げを行うべきだ」

2019年9月3日

www.reuters.com

「状況は世界的なショック(“global shock”)に達しており、それは次回会合でFedの攻撃的な(“aggressive”)手段を正当化する」
「(金利が)高すぎる。政策金利がどの米国債のイールドより高い」
「このような状況では私は市場のシグナルを尊重する」
「我々は次回の会合で50bps(0.5%)動かすことをしっかり議論すべきだ」

・チャールズ・エバンス(Charles Evans)氏、シカゴ連銀総裁、投票権あり、ハト

2019年7月16日

www.cnbc.com

「(複数回の利下げについて)大きなインフレを引き起こすと考える理由がない限り、正しいと思う」

「インフレに基づいて考える限り、年内に2回の利下げを議論することに確信を持てるだろう」

「(Fedの目標であるインフレ率2%の重要性を強調したうえで)今後3年間でインフレ率を2.25%に持っていくためには、50bpsの利下げが必要だ。それでも不十分かもしれない」

2019年8月8日

www.reuters.com

「インフレ率だけを見ると我々が前回の会合で設定したよりもより緩和を要求していると考えることができる」
「(米中貿易問題に懸念を示したうえで)それが経済に逆風となっているのかもしれず、さらに行動を起こすのが適切なのかもし
れないが・・・。分からない。データを見て判断する」
「インフレ率がこれまでのような動きを見せ続ける限り、我々は経済を支持し雇用の拡大を支えるために緩和的なスタンスを追及
していく能力があると考えている」

 

 

・エスター・ジョージ(Esther George)氏、カンザスシティ連銀総裁、投票権あり、タカ寄り

2019/7のFOMCにおいて利下げに反対票を投じた。

2019年5月14日

www.cnbc.com


「現状のインフレ率には当惑するが、経済成長と堅調な労働市場から考えるとそれはFedの政策変更を必要とするものではないと考えている」

 

2019年8月22日

www.cnbc.com

「(7月の利下げについて)緩和を行ったが、私の考えでは必要なかった」
「失業率は非常に低く、賃金は上昇しており、インフレ率はFedの目標に近く、我々は成し遂げるべき使命に関していい位置にあ
る」
「世界経済の成長の減速や貿易問題に関連する不透明性に関しては、どちらも見通しの重しにはなっていると考えている。それら
の実体経済に対する影響について監視を続けている」

www.cnbc.com

「Fedはまだ大きなバランスシートを持っていると考えており、それが長期金利に下方圧力をかけているのかもしれないと思っている」
「(逆イールドについて)世界経済の減速について、それは一部を説明するにすぎないと考えている。それは経済の減速を心配すべき時がきたということを示しているに過ぎない」                                                                                                                            「米国は諸外国よりも経済状態が良く、だからより高い金利が設定されている
のだと考えている」

・エリック・ローゼングレン(Eric Rosengren)氏、ボストン連銀総裁、投票権あり、タカ寄り

2019/7のFOMCにおいて利下げに反対票を投じた。

2019年7月19日

www.cnbc.com

「経済は力強く、インフレ率は2%に近づいていくものと考えられ、経済成長も満足のいくものであるから、多くの行動が必要な環境ではない」

「貿易に関する状況が変化したり、中国や欧州が驚くような状況になったりして経済が変化した場合には反応すべきだ。しかしそれが起こっている証拠を実際に見るまで待つべきだ」

「(経済が減速しているという確実な証拠は)今のところまだ得られていない」

2019年8月19日

www.reuters.com

「このような状況下で、(利下げをすることで)人々により大きなリスクを取るように促すことは大変危険である」
「(利下げは)次の不況をより悪くし、Fedに残された手段を少なくする」
「グローバルな状況は弱い。緩和を行いたいと思うような状況になるかもしれないことは否定しない。ただ私は現実に経済が減速に向かっているという証拠が見たい」 「(雇用状況はよく、インフレ率も2%に向かっているという兆候が見られることから)米国の金融及び財政政策はすでに緩和的である」
「(最近見られた逆イールドについて)世界的な弱さを反映したものではあるが、米国の借り入れコストを下げることで解決される問題ではない」          「(Fedの政策に反対することについて)簡単ではない。コンセンサスによって動く組織であるし、そうあるべきだ。だから合意できないと強く考えるときだけ反対できる」

2019年9月3日

www.cnbc.com

「米国の経済状態は比較的良好であるが、貿易問題や世界経済の減速がどうなっていくのかデータを注視している」
「これらのリスクが現実となれば、積極的に金融緩和を行うことが適切だろう」
「明らかに貿易問題がエスカレートすることなどのダウンサイドのリスクがあり、景気先行きに関して弱気にしている」
「しかし、これまでのところそれは現実のものとはなっていない。米国の消費が維持され世界情勢がこれ以上悪化しない限り、米国の経済は2%ほどの成長を続け、引き締まった労働市場がインフレ率を徐々に押し上げるだろう。」
「追加の金融政策の調整が必要かどうか決定するために、今はデータを注視するのに非常にいい時期だ」

 

・パトリック・ハーカー(Patrick Harker)氏, フィラデルフィア連銀総裁、投票権なし、中道

2019年7月9日

www.reuters.com


「私の考えでは、現時点では直ちに金利をどちらかの方向に動かすべき理由はない」

2019年8月22日

www.cnbc.com

「我々は中立金利付近にいる。正確にどこが中立であるか知るのは難しいが、私はおそらく今そこにいると考えている」
「私は我々はしばらくここにとどまり、事態の推移を観察すべきだと考えている」
「(さらなる刺激が必要かと問われて)今すぐには不要である」
「労働市場は力強く、インフレ率はゆっくりと上昇している。直近のCPIも良好だった」

・ロバート・カプラン(Robert Kaplan)氏, ダラス連銀総裁、投票権なし、中道

2019年7月17日

www.reuters.com

 

www.reuters.com


「もし行動を起こすなら、私にとってそうする一番の理由はイールドカーブの形状だ」

「(イールドカーブの形状は)適度な、抑制された、限定的な利下げが適切かもしれないことを示している」

「(利下げの議論については)柔軟に考える(open-minded)」

 

2019年8月22日

www.cnbc.com

「(次回FOMCで)さらなる行動をとるのは避けたいが、今後数か月間必要ならば行動することについては柔軟に考える(open mind)」
「消費は強いが製造セクターが弱く、世界経済の減速が米経済におそらく影響を及ぼしつつある」
「消費が強い限り我々は力強く成長するだろう」
「(逆イールドに関して)それよりも私はここ数か月金利全体が下がり続けており、フェデラルファンド金利がイールドカーブ上のどの金利より高いという事実に注目しており、それは我々の金融政策が考えていたよりも引き締め過ぎであることを示しているのかもしれない」

・ニール・カシュカリ(Neel Kashkari)氏、ミネアポリス連銀総裁、投票権なし、有名なハト

2019年7月12日

www.reuters.com


「(25bpsの利下げが十分でないとして)ショックを与えるような行動をする必要がある」

2019年8月16日

www.reuters.com
「(貿易問題が人々を注意深くさせており、逆イールドは)人々が神経質になっていることを示している」
「私は「我々は経済にもっと刺激を与え、支持し、拡大を続け、景気後退を許してはならない」という考えに傾いてきている」

 

・ロレッタ・メスター(Loretta Mester)氏、クリーブランド連銀総裁、投票権なし、タカ寄り

2019年7月2日

www.cnbc.com

「現時点で金利政策を変更するかどうか決めるのは早すぎる。もっと情報を集めたい」

「(減速している世界的な経済成長率、低いインフレ率、米中貿易戦争について)懸念は増しているものの、比較的軽度の影響しかない」

「しばらく現状の金利を維持して緩やかなインフレ率の上昇を支え、インフレ率を2%以上に持っていくようなショックに過剰に反応しないことが好ましい」

2019年8月17日

www.reuters.com

「金利を保つシナリオを考えることもできるし、下げるシナリオを考えることもできる。評価するのに時間を取るべきだと考えて
いる」
「(経済見通しに対するリスクは)下方に寄っている」
「(逆イールドが景気後退を予言するほどには長続きしていないとして)それから強いシグナルを読み取ることは不可能だが、無視することもできない」

 2019年8月23日

www.cnbc.com


「現時点で、経済が現状を維持するなら、おそらく私は我々は政策を維持すべきだと言うだろう。」
「しかし、ダウンサイドのリスクを非常に注視している」
「(7月FOMCで)経済成長の強弱を見極めるために、現状の金利を維持してよりデータを集め状況の進展をもう少し長く観察する
ことを支持した。」
「(逆イールドについて)強いシグナルを読み取ることはできない。債券投資家は明らかに他の経済学者より米経済を悲観しており、それは考慮すべき1つの情報だ」

・マイケル・ストライン(Michael Strine)氏、ニューヨーク連銀第1副総裁(常に投票権なし)

今後のローテーション(下記サイトより改編)

www.federalreserve.gov


 

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現状の主な政策

フェデラルファンド金利のターゲットレンジ(%):2.00-2.25

超過準備付利金利(IOER)(%):2.10

公定歩合(primary credit rate)(%):2.75

バランスシート縮小:8月終了

その他FOMC関連情報

次期理事候補

現在理事2名分が空席となっているが、トランプ米大統領はクリストファー・ウォラー(Christopher Waller)氏とジュディ・シェルトン(Judy Shelton)氏をFRB理事に指名する意向を示している(下記はCNBCの記事)。

www.cnbc.com

就任には今後上院の承認が必要となる。両氏ともハト派色が強く、ウォラー氏は7月FOMCで利下げを主張したセントルイス連銀総裁のブラード氏の部下であり、シェルトン氏は以前CNBCのインタビューで理事に就任したら1~2年で金利を0%にしたいと語ったそうだ。

 

・ジュディ・シェルトン(Judy Shelton)氏

www.cnbc.com

「(世界的に利下げが相次いでいる最近の金融政策について)成長の刺激になっていないが、貨幣市場に影響があり、我々は今とても危険な状況にある」
「1930年代の近隣窮乏化政策(Beggar-thy-neighbour)と違いはない」
「(米国は他国に歩調を合わせるためだけに金利を引き下げるべきでない、と考えるかどうか問われて)ただ一人善であるのは素敵なことだが、そんな贅沢はしていられない」