2020/3/3 曇り時々雨;弾切れが近付くFed(FRB) マイナス金利を導入する可能性はあるのか?・否定的なスタッフ・法律の問題

Fedとマイナス金利

昨日の日記でも書いたが、最近Fed(FRB)に対する利下げ期待(というか脅迫)が高まっており、まだ可能性は低いが今年中にゼロ金利に達するかもしれない。

 

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マイナス金利にしないならそこで弾切れ(金利的には)となる。
金融政策としてもう何もできることがなくなるのは大問題である。
なので、Fedがマイナス金利を導入する可能性があるのかまとめておきたい。

まず、フェデラルファンド金利のターゲットレンジはこれまでは最低でも0-0.25%(知る限り)。リーマンショック後の利下げの時でさえ下げても下限はゼロまでで、マイナスにはしていない。

また、Fedのスタッフはマイナス金利導入に否定的である。例えば、直近では2019年10月のFOMC議事録(minutes)に下記のような記述がある。

(以下、議事録から引用)
The briefing also discussed negative interest rates, a policy option implemented by several foreign central banks. The staff noted that although the evidence so far suggested that this tool had provided accommodation in jurisdictions where it had been employed, there were also indications of possible adverse side effects. Moreover, differences between the U.S. financial system and the financial systems of those jurisdictions suggested that the foreign experience may not provide a useful guide in assessing whether negative rates would be effective in the United States.

マイナス金利の緩和効果を認めつつも副作用があり、導入している国と米国とでは金融システムに違いがあるから参考にはならないかもしれない、としている。
FOMCのメンバーもマイナス金利には否定的な意見が多い。例えば下記。

・パトリック・ハーカー(Patrick Harker)氏, フィラデルフィア連銀総裁
2019年11月13日(Reutersの記事)
https://www.reuters.com/article/us-usa-fed-harker/feds-harker-says-he-opposed-last-rate-cut-thinks-rates-should-stay-put-idUSKBN1XM2I4
「マイナス金利はネガティブな衝撃に対し我々が有している他の手段ほど有効ではないかもしれない」

・ジェームス・ブラード(James Bullard)氏、セントルイス連銀総裁
2019年9月26日(CNBCの記事)
https://www.cnbc.com/2019/09/25/james-bullard-says-the-fed-still-has-a-little-more-to-go-with-rate-cuts.html
「欧州や日本のようにマイナス金利の罠に陥ってしまったら、その時はもう手遅れだろう。」

パウエル議長も最近(2020年2月11日)下院金融サービス委員会(House financial services committee)で下記のように証言している(Financial Timesの記事を訳したもの)。

https://www.ft.com/content/3f1e2f32-4cdb-11ea-95a0-43d18ec715f5

「(金利は既に低く)経済が弱った時に支えるためには財政政策が重要になるだろう」
「(マイナス金利は)我々が検討している手段ではない。マイナス金利ではなくこれまでに使ってきた手段に頼っていくだろう」

マイナス金利を否定し、今後は財政政策の方が重要になっていくことを示唆している。
もうFedは弾が尽きかけていることを認めてしまっている。まあ事実そうなのだが。

これらを見る限りマイナス金利導入へのハードルは高そうだが、市場の顔色をみてコロコロ態度を変えるFedである。
もう信用をかなり失っている。
今回も結局市場の言いなりになってしまったし、マイナス金利を催促されれば従ってしまうのかもしれない。
また、市場も市場でどうせFedは言いなりになるだろうということで、今回の新型肺炎のように何かあれば容赦なく催促するだろう。

ただ、そもそも米国でマイナス金利を導入することが法律的に合法かどうかもはっきりしていないようである(下記、CNBCの記事)。

https://www.cnbc.com/2016/02/10/yellen-conditions-less-supportive-of-growth-reiterates-rate-path-is-data-dependent.html

2016年の記事。議会で当時議長だったジャネット・イェレン(Janet Yellen)氏が、マイナス金利について「We didn’t fully look at the legal issues around that,(合法かどうか十分に調査していない)」「I would say that remains a question that we still would need to investigate more thoroughly(さらに精査する必要がある)」と証言している。その後まだ結論は出ていないようである(調べた限り)。

ということで調べてみた結果、マイナス金利になるかどうかについては「良くわからない」というどうしようもないものになってしまった。
まあそうなのだからしょうがない。
少なくとも「マイナス金利になる」とか「ならない」という前提でトレードするのはまだ止めた方が良いということだ。
それが分かっただけでもで良しとしよう。