2020/3/12 晴れ;原油価格下落とクレジットスプレッド(Credit spread)拡大

原油の急落と同時にクレジットスプレッドが拡大

今週原油価格が急落した(下記はロイターの記事)。

https://jp.reuters.com/article/global-oil-shale-idJPKBN20X02P

ロシアとサウジアラビアがもめたことでOPECプラスが追加減産で合意できなかったことが原因。
この原油価格急落を受けアメリカのシェール企業が窮地に陥っているようだ。
上記記事によると、「シェール企業が直接的なコストをカバーするには少なくとも1バレル=40ドル前半の価格が必要。」(記事から引用)らしい。
今の原油価格は下記のようになっている(下図、自分で集計・加工したデータを使用)。

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一時20ドル台を付けた後、やや戻してきてはいるがまだ30ドル台。つまり現状でたぶん赤字だ。
これはそもそも新型肺炎への懸念から原油価格が大きく下げていたタイミングで起きている。
シェール企業をつぶしてシェアを取り戻すチャンスと考えてのことではなかろうか。

まあ新型肺炎が収まれば原油需要は戻るだろうし、シェール企業がつぶれれば供給が減る。
たぶん長期的には原油価格は戻る可能性が高いのだろう。

でも、原油急落によってちょっと心配なことが起こっている。
クレジットスプレッドが急拡大したのである(下図、FRED(https://fred.stlouisfed.org/)から得たデータを加工・編集したもの)。

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BBBの方が上がり方が激しい。
下記記事によると、ほとんどの原油やガス企業の社債はジャンクか投資適格ぎりぎり(BBB格)のランク。

https://www.cnbc.com/2020/03/08/putin-sparks-an-oil-price-war-and-us-companies-may-be-the-victims.html

また、JNKやHYGといったハイイールド債権ETFの約11%をエネルギー関連の社債が占めるそうだ。
シェール企業の債務への懸念がスプレッド拡大の一因にはなっているのかもしれない。
あるいは、もっと大きく世界的な景気後退への懸念もあるだろう。

BBB格債権の格下げリスクについては色々な人が警告している。例えばダラス連銀総裁のカプラン(Kaplan)氏(下記、CNBCの記事)。

https://www.cnbc.com/2019/11/26/dallas-feds-kaplan-says-firm-debt-could-be-next-financial-calamity.html

「私が心配しているのは、もし2つか3つのBBB債がBBやBに格下げされたら、クレジットスプレッドの急速な広がりが発生し, 財務状況が急激にひっ迫するのではないかということだ」(筆者訳)

テールリスクではあろうが、単なる原油価格の問題では済まなくなる可能性もあることは気にかけておきたい。